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第四十二話 まいど

「まいど」は、「毎度お世話になっております」が、省略されて成立した言葉。忙しい商売人やビジネスマン同士が挨拶を交わす際に便利な言葉として、大阪では古くから定着している。
よく使われるのは、出入りの業者さんが「まいど、どーも」と声をかけながら、お得意さんの店先に入って行ったり、気のおけないビジネスマン同士が、電話の第一声で「まいど、まいど」と挨拶を交わし合ったり、といったシチュエーションである。
テンポも良いし、適度な親しみ感も出せるので、大阪では使いこなしている人が多い。ただ、男性ユーザーが中心で、女性で使いこなしているのは、生鮮品店に立っている威勢の良い店員さんなどに限られている。

飲食店などで、支払を終えたお客さんを送り出すときによくかける声は「まいど、おおきに」である。「おおきに」も「大きに、ありがとう」が省略されたもので、「まいど、おおきに」で、「いつも、お買いあげいただいて、ありがとうございます」の意が込められている。これも、簡単な言葉なのにはんなりやさしくて、商都らしい大阪弁といえる。

この「まいど!」という大阪弁を聞いて、まっさきに頭に浮かぶ芸能人といえば、誰でしょう?
そう、横山やすしさんです。いまでもモノマネ芸人が、やっさんの模写をするときは、この飄々として親しみのある「まいど!」から入るのが定番。故人となってもなお、「まいど!」のひと言とともに親しまれているのを見ると、これも、大阪弁が持つ言霊(ことだま)の力と思わずにはいられない。

本日のスキット

友人同士の会話

Aくん まいど!」
Bくん 「おいど!」
Aくん 「うわー、そんな古いギャグ、うちのおとんでも言わんで」
Bくん 「いま、リバイバルで流行ってんの、知らんの?」
Aくん 「え、うそやん?」
Bくん 「ウソや」(「パシッ」とはたかれる音)