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第三十五話 けたくそわるい

いまいましい、しゃくにさわる、気分を害された、といった感情を表すのに、大阪弁ではよく、「けたくそ悪い」とか「けったくそ悪い」と言う。
「けた」は、大阪弁の「けったい(第三話参照)」と同じ語源で、易占いに現れた卦木の形「卦体」のこと。卦木の形が悪いのは、凶事の前触れであったことから、「縁起が悪い」「いまいましい」「奇妙な」といった意味で使われてきた。

浄瑠璃『新版歌祭文』に、「証拠もないに盗人呼はり、卦体が悪いぞ」といった例文が見られるが、これなどは現代大阪弁の「けたくそ悪い」と同じ用法である。
ただ大阪弁の場合、接頭語の「くそ」が付けられた分、感情表現がより強烈になり、粗野になっているのは否めない。くそ坊主、くそオヤジ、くそぢから、くそ真面目…など、「くそ」は接頭語としては一般的だが、「けたい」にプラスしてしまったのは、何かをおまけに付けないと気がすまない、大阪人特有のサービス精神かもしれない。
もっとも、発音上は「けたいが悪いわぁ」「けたいワルぅ」と言うよりは、「けたくそワルぅ」「けったくそワル!」と言う方が、スピーディでリズムがあって、歯切れ良く言いやすい。そういった必然性もあって、大阪弁では、この「くそ添付型」の言い回しが定着していったのではなかろうか。

大阪の人がこの言葉を使うのは、しゃくにさわる人間やできごとに出会った場合だ。
例えば、人の意見を聞かず、自分の言いたいことだけ言って席を立つ相手には、「けったくそ悪いやっちゃな」とつぶやき、道を歩いていて鳩に糞をかけられた時には、「うーわ!なにコレ?けったくそ悪!」叫んだりするのである。
大阪人はまた、飲食店などのお店を評価するときにも、この言葉をちょいちょい使う。ただし、「けったくそ悪い店やなー、二度と来るか!」といった調子がほとんどなので、使うのは最悪評価に限定される。

「けたくそ悪い」は大阪人にとっては、腹立たしいときなどの口癖みたいなもので、これを口にするとストレス解消になる効能もある。試しにみなさんも、いまいましいときなどに、大きな声で言ってみてください。
「ケッタクソワルー!」
ほら、すっきりしまへんか。

本日のスキット

店員と客の会話

「ちょっと、にいちゃん。これなんぼ?」
店員

「へえ、イチキュッパーです。」
「もっと、まかれへんの?」
店員

「いや、これはもう赤札商品ですさかい、これ以上は…」
「まからへんの?」
店員

「わかりました。気は心、この端数引かしてもらいますわ」
「そんだけ?」
店員

「いや、ほんなら、もう100円引きまひょ。これでよろしやろ」
「なんや、それやったら、あっちの店の方が安いやん。あっち行ってくるわ」
店員 (客の後ろ姿を見送りながら)「けったくそ悪い客やなー」