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第二十話 ぼちぼち

先週のインパクニュース&トピックスに、当コンテンツが紹介されました。それも、人気コンテンツ!なんて紹介されていて、ごっついうれしかったっす。これからも、頑張りますので、読んでくださいね。
では、前回が「もうかりまっか」だったので、ここはやはり、「ぼちぼち」で締めさせてもらいます。

「もうかりまっか」と「ぼちぼちでんな」は、対句になっている。「たらちねの」とくれば「母」がくるように、分かちがたくくっついている。
だから大阪では、「もうかりまっか」とたずねられたら、ほとんどの社会人が無意識的に「ぼちぼちですわ」と答えてしまう。ベルの音を聞いただけでヨダレをたらしてしまう、パブロフの犬と同じような条件反射である。

「ぼちぼち」は標準語で言うと「ぼつぼつ」になる。「急速にではなく徐々に物事を行なったり、物事が起こったりするさま」を意味している。
すなわち、大阪弁でいう「ぼちぼち」は、肩に力を入れて、鼻息荒くやるのではなくて、「あんさん、そんなにしゃかりきになったら、なるもんもなりまへんがな。テイク・イット・イージーでっせ」みたいなニュアンスに近い。
大阪の人はよく、「さあ、いってみようか」という時に、「ほな、ぼちぼちいこかー」という言い方をする。武家の文化だと、「いざ、ゆかん!」風の、しゃちほこばったかけ声になるのだろうが、そこはカッコつけるのを恥ずかしがる大阪人らしいところで、心の中では「よっしゃ、一発いてこましたるでえ!」と思っていても、表向きは「ほな、ぼちぼちいこかー」と、抜けた感じにしてしまう。
これが大阪らしくて、エエ感じなのです。

「ぼちぼち」の精神は、浪花の商人道にも通じている。力任せに、無理やり物事を押し通すのではなく、己に理があるかどうかをつねに見定め、時節到来して初めて事を起こす--。浪花の正しい商人道とは、すべからくこの「ぼちぼち」のココロを基本としている。
大阪をつくった太閤はんしかり、経営の神様・松下幸之助はんしかり、阪急東宝グループをつくった小林一三はんしかり、みんな、庶民から「はん」づけで呼ばれ、親しまれたのである。そこには、天に愛されながら「ぼちぼち」と仕事を成し遂げた、大阪人の姿があるような気がする。
その松下幸之助翁は生前、経営の秘訣をたずねられると決まって、「ぼちぼちやることや」と答えていたという。このエピソードは、当サイトのエッセイ、ミナミの洋食屋「ニシモト」の二代目主人・西本昭男さんがつづった思い出話「南地の人々 その2」に詳しいので、ぜひお読みください。思わずほろりとくる、エエ話が語られてます。
大阪の人はみんなこんなふうに、一生懸命にぼちぼちと生きているのです。

本日のスキット

老舗の寿司屋で客と主の会話

「どや、ご主人、近頃は」
「へえ、おかげさんで、死なん程度にやらせてもらってます」
「そうか、そらええこっちゃ」
「この界隈のお店も、どんどん回転寿司に衣替えしてましてな」
「ほんまに、よう流行っとるなあ」
「これからはもう、カウンターが回ってないと、あかんのですかなあ…」
「そら、好きずきや。どっちもええとこあるがな」
「そういうもんですかな」
「そや、人生晴れたり曇ったり。まあ、ぼちぼちやっとったら、ええこともあるがな」