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第十五話 好きやねん

某食品メーカーのインスタントラーメンのブランド名で売れたので、もはや全国区になってしまった感のある大阪弁である。
『大阪学』(新潮文庫)の著者・大谷晃一さんは同書のなかで、この言葉を詳細に分析しているのでご紹介したい。

それによると、「好きやねん」の「や」は、「じゃ」が近世末に転化したもので、もともとは日本昔話でよく聞くような「わらわは、そなたが好きじゃ」といった、昔言葉であったのだという。
末尾の「ねん」の「ね」は、「のや」の崩れた形で、それに「ん」をつけて念を押したもの。発音するなら「ねン」と添える程度にするのが正しく、すべてをはっきり発音すると、実にくどくて押しつけがましい、田舎めいた言い方になると評している。
以上のような理由で大谷さんは、「好きやねん」という言葉は、ほんとうは「好っきゃねん」と言うのが正しい、と続けている。本来、男と女の愛の告白に使われる言葉なのだから、はっきり言うものではない。恥じらいながらつぶやくべき言葉なのだと論じている。
男でも女でも、この言葉を使う時は、含羞の口調になるからこそ、「長く高い文化のある大阪という都会の人間の持つ恥じらいやはにかみ」が、映し出されるのである。

実に味わいのある大阪弁評論だと思いませんか。
生活スタイルの多くの面で欧米化が進み、路上キッスも全然平気になってしまった若者たちが闊歩する日本ではあるが、本来日本人には、こういった「含羞」の文化があったはず。
路上で堂々とチューができる若者たちもまぶしいが、たった一言が言えずにいる大人の恋愛というのも、物語になって味があるのだ。

ちなみに、音声ファイルの発音は、「好っきゃねん」ではなく、きちんと発音する「好きやねん」で行っています。でも、「都会の人間の持つ恥じらいやはにかみ」はうまく演出されているのではないでしょうか。一度、お聞きください。

本日のスキット

幼なじみの二人の会話

Aちゃん 「あーあ、明日はいよいよ転校やな」
Bくん 「ほんまに、引っ越ししてまうんか?」
Aちゃん 「あたりまえやん。前から言うてるやんか」
Bくん 「おれ、おまえに、言い忘れたこと、あんねん」
Aちゃん 「なによ、あらたまって」
Bくん 「おれな、おれ…おまえのことがほんまは、好っきゃねん
Aちゃん 「なによ、それ…。そんなん、突然言われも…。あほ、うちもう知らん」