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第三話 けったい

手に負えない人、というのが、たまにいる。 標準語でいうと、「まいったな、なんだよアイツ」とか「まったく、手に負えないな、ああいう手合いは…」といった言葉が口をつく状況である。 こういうとき大阪では、「ほんま、けったいな奴っちゃなあ…」と嘆息するのが一般的だ。

「けったい」とは、「けたい(卦体)」とか「きたい(希代)」が変化したもので、不思議なさま、奇妙なさま、世にもまれな様子を意味している。語源は、易の卦木の形であったという。「けったいなことの続くのは、何か変事のある知らせと」と坪内逍遙が『桐一葉』の中で使っているから、少なくとも明治時代には、標準的な日本語であったことがうかがえるが、今では、大阪弁ぐらいでしかあまり聞かない日本語である。

浪花では、ちょっとエキセントリックな人とか、人と迎合しない風変わりな者、意固地な人などを称してけったいな人、という場合が多い。あるいは、にっちもさっちもいかないトラブルに見舞われたりすると、「けったいなことに、なってしもうたなあ」とため息まじりに言ったりする。どちらにしても、あまりポジティブなニュアンスはない言葉である。

しかし、浪花の商人道では、「けったい」と言われることは、ときにその人の才覚やオリジナリティが認められた称号であったりする。言外に「あいつ、もしたら、将来大物になるかもな…」とか「いまはただのアホやけど、化けるとオモロイことになるやろな」というニュアンスが含まれている。だから、若者ならときには、「あんた、けったいな人やなあ」と言われるぐらいがちょうどいいのである。

一方では、これを上品な大阪女性がたおやかに使うと、とても愛情にあふれていて艶っぽく聞こえる。ちょっと遊び上手な憎めない若旦那が、店のおかみに悪ふざけをしたりすると、すかさずおかみが「いややわ、けったいな人」と、たしなめたりするシーンである。いかにも織田作風の、浪花人情物語が進展していきそうで、味のある言葉ではないか。

本日のスキット

ある会社で同僚同士の会話

社員A 「おい、B君、今日はどこに営業まわんねん?」
社員B 「はい、今日は船場界隈をぐるっと営業してきますわ」
社員A 「船場いうたらキミ、あの頑固商会にも行くのんか?」
社員B 「そやねん、素通りいうわけにもいかんし…」
社員A 「あそこは、けったいな社長がおるさかい、気イつけや」
社員B 「はい、挨拶だけしたら、早々に退散してきますわ」