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大阪万華鏡
水都
大阪の「ええもん」ってなんだろう?

  「世界レベルの大阪ええもん」というムック本が、この7月に�(えい)出版社より発行されました。
大阪のおみやげ、伝統工芸品、お店の目玉商品などを紹介したもので、売れ行きは好調、8月にはABC「おはよう朝日です」の書籍ベストセラーの第3位として紹介されました。手にとってみると、単なる名品紹介にとどまらない、大阪という街の空気を伝えようという作り手側の視点が感じられます。

この本の扉は、こんな文章で始まっています。

“大阪の「ええもん」ってなんだろう?” 
という疑問から、この本づくりは始まりました。

いわゆる大阪名物と称されるたこ焼きやお好み焼き、
あるいはコテコテやお笑いなどのニュアンスがそれではないことは、
大阪人はもちろん、観光客もそろそろ気づき始めているし、
かといって大阪に店があるというだけで、
それがそのまま大阪らしい「ええもん」になるわけではない。

けれど、人や街の面白さはやはり大阪の真骨頂。
「そんなんアリか」と驚く、客と店とのフレンドリーなやり取り、
「こんなことまで」と唸る、デラックス感に溢れた商品、
「そこまでせんでも」と笑える、遊び心にまみれた人たち・・・。
つまり、大阪の大阪らしさは、ものや店そのものではなく、
それらがやり取りされる時に生まれるサービス精神や、
コミュニカティブな感覚にこそあるんじゃないだろうか。
これって例えて言うなら、大阪人そのものですね。
 この本の企画・編集にあたったのは、大阪・中之島の「編集集団140B」。もともとは京阪神エルマガジン社に在籍し、数年前に「神戸本」「大阪本」「京都本」でそれぞれ20万部を超えるヒットを仕掛けたメンバーです。
今回は140Bの編集責任者・江弘毅氏、出版責任者・中島淳氏にお話をうかがいました。
  今年1月に「京都を買って帰りましょう。」という本を出し、初版6万5千部、1ヵ月後には6万部を増刷するヒットになりました。そして第2弾として「大阪本」を初版8万5千部で発行しました。
京都には若者が出したお店と何百年もの歴史がある老舗とが共存している魅力があり、また観光地と買い物のエリアが一緒なので、観光地を歩く華やかさの中に何かを買って帰ることができるという強みがあります。大阪は魅力的なものを売っている場所が観光地ではないことも多いので、大阪本を出すにあたっては、京都とは違う面白さを売っていこうと考えました。

大阪のお店には、まずコミュニケーションがあり、その上に商品が乗っているようなところがあります。お客さんが勝手に商品の名称をつくったり、いらんことを言ってコミュニケーションを面白くしたりという要素がふんだんにあって、そのやりとりの面白さこそが大阪の魅力だと考えました。インディアンカレーショップの「ダイタマヨコワケ」(大盛りご飯にルウを横に分けてかけ、玉子を落とす)や自由軒の「織田作死んでカレーライスをのこす」こそが大阪的なのです。
 「大阪24区 ええもんの顔。」の中では、浪速区の顔として「なんばパークス」ではなく「樽幸製作所」を、此花区では「USJ」ではなく「克政」を取り上げています。人が暮らしている街の中でその店とどう関わったか、この店は街の中で、自分の中でどんな存在なのかを表現すること、すなわち『街的』であることを大事にしているのです。
ものや店として良いだけでなく、一回ひねりの面白さに富んだ「ええもん」を紹介したこの本。実は一人のカメラマンの目ですべての写真を撮っている、といったところにもインパクトの理由があるようです。本屋で見かけたら、ぜひ一度、お手にとってご覧ください。

2007年10月3日
(大阪ブランド情報局 山納 洋)