理想像ばかりを描いていても仕方がないので、きょうは具体的な提案を持ってきました。ここにいる大半が男性です。こうしてお見かけしますと、全員がネクタイを締めてきちっとジャケットを着ておられます。 実は、1週間前に環境省の小池百合子大臣から「ヒロコさん、相談があるのだけれど来てくれない?」というお電話がありまして、何事かと思って伺いました。 「今年2月に正式に発効される「京都議定書」の中で、地球温暖化防止のために各国に課せられた温室効果ガスの削減義務が日本にも課せられている。1990年の対比で6%削減しなければいけないところを、逆に2003年度には8%増加してしまい、差し引き14%の削減が義務になってしまった」 最初は難しいなと思って聞いていましたが、これはえらいことで、世の中すごい暖かくなってしまったわけですね。 「それにはどうしたらいいか、あなたは服ということの中で考えてくれない?」 それで考えました。
私たちの生活は、確かに石油や電気に頼りすぎたライフスタイルをおくっているのではないでしょうか。暑いとなればガンガンとクーラーをかけて、寒いとなればジャンジャン暖房をかけ、とにかくエネルギーを使いっぱなしです。そういうライフスタイルを1人ひとりの人間が自らの手で変えていかなければいけない。
そのときに小池大臣が、「男の人がジャケットとネクタイをはずすと、体感温度は2度下がり、国内全部の男性が真夏にネクタイを取ると、0.4%から0.8%温暖化防止に貢献できます」 これはすごいことです。1人ずつのちょっとした気持ちの持ち方で、これだけ変わってきます。冷房を2度下げるとなると、どれぐらいのエネルギーを使うか。これもすごいことだと思います。 小池大臣が、「愛知万博でこういったことをテーマにしたファッションショーをやってみたい」と言われました。私はその時にピッときました。ちょうど1週間前です。私はこのブランドコミッティの議長をやらなければならない。実際にわれわれが、何かをしていかなければいけない。絵に描いたモチのように眺めているわけにはいかないのです。今、私たちは、行動しなければいけない。そのときに、私に神様の啓示が下ったのではないかと思ったのです。これは私がやらなければいけない。そして、この場所をお借りして、大阪からそういう社会をつくらなければいけないと思ったのです。 まず、関西の企業のオーナーの方たちに出ていただく、また影響力のある文化人の方々や行政関係の方たちにも出ていただいて、私のデザインしたものや他のデザイナーが提案した新しいフォーマルウェア、オフィシャルな場所できちんと成立するウェアの提案をすればどうかと。 これは今までいろんな方がやっていました。羽田さんも半袖のジャケットを着たりしていましたし、何人もの方が試みてこられました。けれども、肝心なことは、そこにデザインがないのです。ただ涼しければいいというだけではく、見かけが大切です。だれが見ても気持ちが引き締まる緊張感、こういったものがビジネスマンには必要です。デザインの力でそれができるはずです。日本の場合は非常にテクニックが素晴らしい。つまり体感温度を下げる素材の開発や技術など、とても進んでいるはずです。 きょうは水野社長も来ておられますが、スポーツの社会ではすごい素材がいろいろ開発されています。今は冬で寒いですから体感温度を上げる素材が開発されています。また、逆に下げる素材も開発されています。そういった素材を使って、だれが見ても「うーん、これはカッコいい」と言わしめるような素晴らしいデザインの洋服を、影響力のある方たちに着ていただいてファッションショーでもして、たくさんの人たちが、「これだったら今年の夏はこのスタイルで行けるな」と共感してもらえることをブランドコミッティの中でやろうではありませんか。 これにぜひ賛同いただいて、今年の夏から始めなければいけないと思っています。そのためには、明日からでもやらなければいけないと思っています。
いろんなライフスタイルがありますが、情報が飛び交う中で、自分独自のアイデンティティを持って自分らしく表現できる社会を、大阪がまず率先してやらなければいけないと思います。そうでなければ元気な大阪に絶対なることはできない。横を見て、「あの人がやっているから私もやろう」ではなくて、「おれがやる、私がやる、だれが言わなくても私はやるんだ」という気持ちを強く持って、熱い気持ちで臨んでいただきたいと思います。
きょうは具体的なお話をさせていただきましたが、まず大阪からこれを立ち上げて、そこで1つのきちっとしたコアをつくって6月の愛知万博で発表し、そこで日本全国・世界に発信したい。それらのコアはすべて大阪ブランドコミッティがつくった、というような実績をぜひつくりたいので、どうぞ皆様ご協力いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
