文楽が、昨年ユネスコの世界遺産に選ばれました。来年は歌舞伎が選ばれる可能性が高いと思います。大阪府下には、現在のところ、建造物としての世界文化遺産はないのですが、芸能についてはまだまだ候補が残っています。それらをどのようにブランドに活かすかということを考えてみます。 昭和9年ぐらいの記録によると、大阪の3大名物について、「お城とおこしと鴈治郎」というのが記載されています。これは、大阪城、岩おこし、それから初代の中村鴈治郎ということです。これらは、現在の大阪のイメージと合ってるのかどうか分かりませんが、当時はそういうことを言われていました。 この約40数年の間に、大阪の歌舞伎は衰えて、東京に一極集中が進んでいます。しかし、全てがなくなってしまったわけではなく、道頓堀の松竹座が本拠地のような感を呈し、俳優の養成も行われています。8月には、中村勘九郎さんがニューヨークで「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」という芝居を上演しました。これはタイトルからも分かるように、大阪を舞台にした芝居で、大阪の言葉で演じる芝居で、中に住吉大社が出てきます。歌舞伎の中に大阪の風景が盛り込まれているということを、大阪の人にも思い出してほしいと思います。 現在大阪で行われています、歌舞伎ゆかりの行事として、一つ紹介したいものがあります。これは、毎年6月の終わりに行われてます歌舞伎の船乗り込み。堂島、中之島から、東横堀川を通って、道頓堀に入っていくという船乗り込み。1963年、昭和38年の松竹映画のラストシーンの船乗り込みは有名です。この前倒れられた市川猿之助さんが映画に出たときのフィルムですけれど、沿道からみな市民が手を振って、役者と交歓しているという、有名なラストシーンなんです。これは道頓堀・角座の上演に先立って行われた、これがラストシーンなんです。明治時代の船乗り込みを再現しているものとして、映画で上演されたわけなんですけれども、海外で上演されて、評判が良く、このとおりのまちだと思って大阪に来られて、水の都だと期待して来たら、イメージが違うとがっかりしている人もいるんです。それでも、船乗り込みは、年に1回だけはやってるんですね。だから、こういうものも、もっとデザインを磨き上げていく必要があると思うんです。 浮世絵といいますと、すぐ江戸の浮世絵、写楽とか歌麿を連想しますけれども、大阪の浮世絵というものがありまして、小林一三翁が集めた阪急の池田文庫にたくさん大阪の芝居絵、浮世絵がありますので、そういうものを参考にして、大阪の古典的イメージをもう一回打ち出していくことができると思うんです。 歌舞伎も文楽も能も、まだ大阪には残っているんだけども、それらが個別バラバラな印象がありまして、まとまった古典芸能の大阪ブランドのイメージを作るにはどうしていったらいいかということで、1つちょっと提案したいと思います。 大阪と京都を比較してみたんですけども、例えば生け花とか、舞とか、狂言とか、こういうものでまだ大阪に残っているブランドがたくさんあるんですね。こういうものをうまくぱっと見せられる仕掛けがあればいいわけなんです。それでちょっと一つ提案したいと思います。
もちろん、劇場で何時間も見ていただくのがいいんだけども、観光客にはそうはいきません。ですから、例えば、京都の祇園コーナーのようなレストランシアターみたいなものでもいいんです。しかし、やるものは本物。だけども、それをコンパクトに並べられるような、ショー形式の古典芸能の劇場のようなものを作れないだろうか。そこでなにわ野菜を用いた食材で食事をするとか、あるいは、大阪の太棹の三味線とか、生田流の筝曲とか、そういうものを用いて、しかもOSK日本歌劇団は、日本舞踊ができますので、そういうものでメドレー形式のひとつのレビューショー、大阪の古典というものを分かりやすく分かってもらえるような、そういうものが作れないかなということで、今関係者と相談しているところです。
これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
