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| ● TOP ——————– □第一話 おおきに □第二話 なんぼ □第三話 けったい □第四話 ほかす □第五話 いらち □第六話 しゃあない □第七話 ほな □第八話 さよか □第九話 どないしたん □第十話 ええかげんにしいや □第十一話 うそやん □第十二話 ちゃうちゃう □第十三話 わや □第十四話 かなん □第十五話 好きやねん □第十六話 しょうもない □第十七話 さぶいぼ □第十八話 やいやい □第十九話 もうかりまっか □第二十話 ぼちぼち □第二十一話 かまへん □第二十二話 あほ □第二十三話 あかん □第二十四話 よういわんわ □第二十五話 ほんま □第二十六話 べっぴん □第二十七話 やつす □第二十八話 すんまへん □第二十九話 しはる □第三十話 しばく □第三十一話 はよ □第三十二話 ややこしい □第三十三話 なんぎやな □第三十四話 よろがわ □第三十五話 けたくそわるい □第三十六話 おいでやす □第三十七話 あんじょう □第三十八話 なんのこっちゃ □第三十九話 なおす □第四十話 しまひょ □第四十一話 ごっつい □第四十二話 まいど □第四十三話 いちびり □第四十四話 ほたえる □第四十五話 めっちゃ □第四十六話 げら □第四十七話 どだい □第四十八話 なんでやねん □第四十九話 あんさん □第五十話 あんなあ □第五十一話 ええやん □最終話 おもろい |
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「美人」のことを大阪ではよく、「べっぴんさん」という。「あのこ、えらいべっぴんやな」とか「ちょっと見いひん間に、えらいべっぴんさんになってぇ」といった使い方をする。
でも、とりすました深窓の令嬢タイプの美人には、あまり似合わない。どちらかというと、明るくて気だての良い、隣のお姉さんタイプの美人にマッチする形容である。

大阪は、含羞を知る大人の都市であると、「好きやねん」の項で書いたことがあるが、この「べっぴん」という言い方にも、大阪人独特の、照れとかシャイな一面が表れている。 つまり、大阪の人は美人に対して、「あなたは、美しい人だ。月だ星だ太陽だ…」といった、ダイレクトな表現は、恥ずかしくて言えないのである。たいていの大阪人なら、「そんな恥ずかしいこと、照れてしもて、言えっかいなぁ」ということになる。
大阪人は一般的に、大事なときになればなるほど、すかしたりジョーク入れたりして、その場の空気を”大阪風味”にしてしまう。それと同じで、美人を前にすると、「好っきゃねん」と小声でしか言えないし、「あんた、べっぴんさんやなぁ」と茶化したようににしか言えないのである。

大阪人はラテン系とよくいわれるところだが、その伝でいくと、大阪の男性は、美女を見たらところかまわず、「あなたは美しい」「愛しています」を連発していることになるが、実際は前述のような「あかんたれ」が多い。 美女を前にすると緊張して、言いたいことも言えずに、おどけてしまうお人好しが多いのである。織田作の『夫婦善哉』しかり、上方の夫婦漫才しかり、なんとなく頼りない、嫁さんに頭の上がらない男が、浪花男のある種の典型となってきたのも、あながち誇張とはいえない。
ふだんは偉そうに言ってても、いざとなると頼りない男たち…。でも、そこがまた浪花っこの、憎めないとこなんです。

余談ながら、浪花のお店で、きれいなお姉さんを見かけたら、「やあ、えらいべっぴんさんやなぁ」と、お上手のひとつも言ってみましょう。気は心、なんぞサービスがあるかもしれまへんで。
本日のスキット
近所のおばちゃんと娘の会話
| おばちゃん |
「あら、花子ちゃんやないの、帰ってたん?」 |
| 娘 |
「うん。夏休みで、昨日帰ってきてん」 |
| おばちゃん |
「いやー、ちょっと見ん間に、えらいべっぴんさんになって」 |
| 娘 |
「いややわ、おばちゃん、お上手言うて」 |
| おばちゃん |
「東京に帰るまでに、いっぺん遊びにおいでね」 |
| 娘 |
「うん、おおきに、おばちゃん」 |
